寺田みのる先生と行くスケッチツアー

2日目:今日の訪問先は水郷佐原(小江戸)と潮来です。
2015年4月3日

 今日訪れる佐原は、江戸時代、小野川両岸とその周辺には河岸問屋や醸造などの商工業者が軒を連ねていました。現在も隆盛を極めた当時を彷彿させる古い商家が立ち並び、商都としての歴史景観をよく残している。平成8年には関東地方で初めて「重要伝統的建造物保存地区」に選定されています。この一帯は、昔からの稼業を引き継ぎ、今も営業を続けている商家が多いことから、「生きている街並み」と評されています。
パンフレット「小江戸めぐり”佐原”」より。
 東京秋葉原のホテルよりバスで移動、約2時間と渋滞もなくスムーズに佐原に着きました。途中で雨が降り出してスケッチができるか心配しましたが、佐原に着いた時は止んでいてラッキーでした。




 バスを止めた駐車場から重要伝統的建造物がつづく町中の道路を建物を見ながら歩いて保存地区の中心、忠孝橋に着く。ここを集合場所に決めて昼までスケッチタイムとなりました。


 

忠孝橋と中村屋商店
 右の建物は、安政二年(1855)建築。変形角地のため、交差点の隅柱を五角形にするなど工夫を凝らしている。明治7年(1874)から荒物・雑貨・畳を、現在は荒物を商っている。中央の蔵は明治25年の大火後に建てられた3階建ての袖蔵です。
  まずは水郷の佐原、水郷の周辺から散策をはじめよう・・・
   
観光和船が運行されている水郷風景






水郷の屋形船遊覧
佐原の水郷は利根川へ流れ込む小野川です。

このスケッチの左端の家が「伊能忠敬」の旧宅です。
 日本で初めて実測による全国地図を作った伊能忠敬は、17歳で下総国香取郡佐原村の伊能家に婿入りしました。当時の伊能家は米の売買や酒造りなどを営む大きな商家で、佐原村本宿の名主を務める家柄でした。55歳から十回にわけて全国測量を行う。その間に歩いた距離は約三万五000キロ、地球一周分にもなるそうです。



スケッチポイント探して佐原の町を散策。
 

 通りの一番奥の建物は中村屋商店です。その前に水郷(小野川)があり、忠敬橋がかかっています。写真中央の大きく重厚な屋根のある黒い建物は中村屋乾物店です。右の写真は正面から撮った中村屋乾物店です。

 

中村屋乾物店
明治25年(1892)建築
 この店は当時最高の技術を駆使したといわれる防火構造で、壁の厚さが45センチ、完成までに二年以上かかったという土蔵造りの建物(千葉県湯系文化財)です。


集合場所で描くのが一番らくだ。ということで水郷(小野川)に架かる忠敬橋からスケッチしました。


  


中村屋商店
(千葉県指定有形文化財)






中村屋商店の向かい側に並ぶ千葉県有形文化財の商家です。
 写真右から旧油惣商店、一軒飛ばして赤いポストの所、のれん見えている家が蕎麦店をやっている小堀商店、その隣(洋館の手前)が福新呉服店と旧家がつづいています。
正文堂堂
 明治13年(1880)建築。
 書店であった店舗は、黒塗り土蔵造の店蔵の形式を今に伝える重厚な建物です。昇り龍、降り龍を配した看板の「正文堂」の文字は、明治三筆の一人と称される巖谷修の書で、明治29年(1896)のものです。


小堀屋本店
明治33年(1900)建築。
 天明2年(1782)創業の蕎麦屋で、道具類や蕎麦作りの秘伝書が明治23年(1890)建築の土蔵とともに残っている。明治35年(1902)には店舗の表にガラス障子を入れるなど、明治時代の新しい工夫を知る建物です。



福新呉服店
 明治28年(1895)建築。
 文化元年(1804)創業のの老舗。土蔵造りの店舗は、奥にある明治初年建築の土蔵や敷地周囲の防火壁とともに火の侵入を防ぐ構造となっています。店舗の軒下や戸袋の銅版に、職人の技をうかがい知ることができます。


 

 昼前になると車と観光客が増えてくる。それでもスケッチメンバーは負けじと狭いスペースに座って熱心に描いていました。
 

小堀屋本店(右)
明治33年(1900)建築。
天明2年(1782)創業の蕎麦屋
 お昼になり、スケッチメンバーと食事何処を探す(mっ右上の写真)。私は寺田画伯について佐原駅に近い「桶松」に行きました。先生曰く、佐原に来たら「桶松の丼」だよ(^^)/。愛顧をいただき100年だという。ボリュームたっぷり、とても美味しかったです。



 食事が終わって午後一時に集合場所の忠敬橋に帰ると、毎日新聞旅行のU氏から、ここ水郷佐原でスケッチ時間をもう1時間延長するという。ウロウロしていたら1枚も描けない気がする。それならここ、忠孝橋で描くのが一番、今度は反対側を向いて三菱館(レンガ造りの建物)方面を描きました。




三菱館が見える通り

 三菱館は三菱銀行佐原支店の旧本館です。大正3年(1914)建築。明治の西洋建築の流れをくむ三菱館はレンガ造りの洋館です。川崎銀行佐原支店(明治13年、開業時は出張所)として清水満之助本店(現清水建設)が設計施工、現在は佐原市の観光用に使用されています。



 次のスケッチポイントは潮来、ここも水郷だ。千葉県香取市の佐原からバスで1時間ほどで茨城県へ。霞ヶ浦に続く常陸利根川傍の「潮来ホテル」に着く。住所が”茨城県潮来市あやめ”、その通りホテルの前にはあやめ園が広がって観光スポットなのだ。6月には約500種100万株のあやめ(花菖蒲)が咲き誇り、嫁入り舟など水郷ならではのイベントが盛りだくさんと聞く。残念ながらあやめの時期には早すぎ、青い葉がある水田が広がっている感じでした。ここでのスケッチ時間は2時間だったが、描くポイントもなさそうだし、風がとても強くて寒い、スケッチどころではない。
 

水郷潮来

皆さんは寒さと風にも負けずスケッチを続けている。私はこの一枚を描いてホテルへ逃げ帰りました(^^;)。